私は夜、スーパーのレジでパート勤務をしておりますが、
いつも買い物に来られるお婆ちゃんが近所の野良猫のお世話をしているのを聞いておりました。いつも猫の話をするのですが、風邪引きの子猫がいて可哀相だと言っておられるので、「早めに薬をしたり処置をすれば良くなりますよ」と言いましたが、それをやるかやらないかで、子猫も命を落とす事もあるので、私が行動に起こしてあげないといけないような気になりました。私も多忙でありますが、子猫が助かる為なら行ってあげようと思ったのです。
次の日(10日)、薬を準備して、緊急の場合は子猫を入れる事もできるバックも持って約束の時間に出向きました。そして子猫と対面しました。私は子猫を見て愕然としました。
鼻気管炎の重度の症状だと判りました。鼻は詰まって息ができず頭を上に向け、口を開けて苦しそうに息をしてました。目は塞がりかけて、食欲もなく、脱水症状と貧血を起こしていて危険な状態でした。軽度の鼻気管炎で少しでも食欲があれば薬をしていけば良くなるのですが、症状が重くなれば子猫は手遅れになる事もあります。このままお婆ちゃんに任せておいたら子猫は間違いなく明日には死んで行きます。すぐに自宅保護しました。
自宅に戻って、子猫がミルクを飲める状態か、すぐに準備して飲ませましたが・・・まったく受けつけないのです。少し抗生物質を混ぜて飲ませましたが・・・ほんの少しずつ飲ませようとしても拒絶して、両手で突っぱね、ついに私の指をガブリと凄い力で噛みました。ゆっくり寝かせた後でも、何度やってみても子猫は苦しがるばかりで、私は2度も指を噛まれ出血しました。が、・・・これはこの子が苦しさを私に訴えてるのだと思いました。どこかが痛くて苦しいのかも・・・ミルクを飲むのがとても辛いのだと判りました。こんなに弱ってグッタリしている猫が、ミルクを飲ませようとする時だけ、ここまで力を振り絞って抵抗するのは今まで私には経験がありませんでした。その抵抗する時の姿は、思いっきり両前肢を突っ張って、必死に力んでいるのです。それを見てるとまるで、
何かを必死に守ろうとする「仁王(におう)」像に見えてしまい、私は涙が止まらなくなってしまいました。変かもしれませんが、
私はこの子を「仁王」という名前で呼ぶ事にしました。
仁王は少し飲んでくれたとしても、後で苦しんで全部吐いてしまうのです。不思議に思ったのは、何も食べる事ができないのに、お腹だけが妙に膨らんでいるのが私は気になってしょうがありませんでした。何故??? もしかしたら子猫はお腹かどこか体に異常があるのでは?・・・鼻気管炎の他に何か病気があるのではと心配が募ってきました。
それと、子猫の白黒の柄の白い所はノミの糞でゴマ塩の様になってて、ノミが多いのは気がついてましたが、その量が半端ではなかったのです。ガリガリの背中にこびりつく様に体中にノミが吸い付いてるのです。ノミ取り櫛をすくと櫛にノミの黒い糞の山盛りができて、その中にウジャウジャとノミが蠢き飛び跳ねてくるのです。とにかく凄過ぎて櫛通りが悪く、何度も何度も取っても取っても取り切れないのですから異常な多さです。洗面器2杯に取ってもまだ体を這っているノミが恨めしくなりました。子猫の貧血を重度にしているのは病気とこのノミも原因です。
皆さん、ご存知でしょうか?
成猫5kgの体重の血液の量はコップ約2杯半といいますから、小さな子猫にとっては1/2カップ未満・・・充分な栄養が摂れてなければノミによって貧血を悪化させます。
私はこれ以上貧血が進めば命が無いとみて、荒治療ですが、手早くシャンプーをしました。体を乾かして、レボリューションを体につけました。これでなんとか子猫はノミから解放され、僅かな血液を減らすことを防ぐ事ができると思いました。
子猫の体力を考え安静に寝かせました。そして次の日、病院へ連れて行きました。
生後約2ヵ月の子猫の体重は400gでした。先生に症状を伝えましたが、先生は「鼻気管炎で鼻が詰まっているので食べ物を与えると呼吸ができなくなって苦しがって抵抗するのです」と言って、その日は抗生物質を入れた点滴と皮下注射をして、目薬インターフェロンを頂いて診察は終わりました。そしてミルクやa/d缶を少しずつ与えるようにと言われました。不安と期待と半々で帰宅しましたが、子猫は点滴して体力が少しついたかもしれないが・・・まったく症状は良い方に向かわなかった。どんな事をしても努力しても子猫は食べ物を受けつけない!!吐いてしまう。そしてぐったりする仁王。 ただ、もがいて苦しがっているだけだ。こんな悲しい努力はない。仁王を苦しめる努力なんて私はしたくない。私は仁王ちゃんが心配で寝ずに看病しました。私も体力を消耗して貧血になってしまいました。
診断に納得がいかず・・・次の日(12日)、再び病院へ行く。
私も苦悩する。仁王という子猫と出会った・・・。
この小さな命が守られますよう、神様に祈りながら・・・。
小西美智子


