その時はただ純粋に助けたいという一途な思いで保護した子猫でした。重症であればあるほど、なんとかしてあげたいという気持ちで必死でした。
子猫が難病の重症と解った時・・・私は子猫を我が子として受け入れる覚悟をしておりました。仁王という子猫を保護した事を運命の出会いと思い、どんな困難が待ち受けていようと最後まで責任を持って育てる決心でした。しかし、仁王が生き続ける事ができるためには、あまりにも大きな障害、とてつもなく高い壁が立ちはだかっていたのです。
そして19日の昼、病院からの電話が鳴りました。
仁王の今後について先生と話し合いをしなければいけない時が来ました。私が病院に行くと、仁王の新たなレントゲン写真が貼られていました。
バリウム投与によって映し出された仁王の体の内部・・・お腹は前回と同様、胃や腸にガスが大量に溜まっていて大きく膨らんでいる。仁王は呼吸する時に口を開けて空気を飲み込んでいるのでガスが溜まるのです。問題の、食べ物を詰まらせてしまう食道拡張、なんと食道の途中がくびれていて、大きく拡張した食道が前後2つになっていた。
先生の説明は「もしかしたら血管輪異常の疑いがあるのです。食道を圧迫してる所を手術するしかないです。それも中を見てみないと、はっきりと解りません。体力が持つか大変な手術ですが・・・ただ仁王ちゃんは、このままでは危険な状態で助かる見込みはありません。どうにかして食べれるようにならない限り・・・いずれ衰弱して死んで行きます。」だった。私は一体どうすれば・・・。
先生は一か八かの賭けになると言われた。一か八かという言葉はあまりに、命に対して惨く聞こえる。ただ、先生も切羽詰っていると感じた。私の同意がなければ実行できない。
私は仁王の事をひたすら考え続けた。冷静に・・・。
仁王はこのままでは何も食べれないまま・・・何も変わらない。ただ点滴で生かされているだけ・・・そして死を迎えるだろう。
そして、手術をしても死ぬ危険もある。もし同じ死を迎えるのであるなら、1パーセントでも生きる望みのある方法を選ぶべきなのでは・・・と思った。
小さな体はもう余力が残されていません。
決断が迫られているのでした。
苦渋の選択でしたが、私は承諾しました。
仁王!! 私は間違っていますか?? 教えてください。
聞けるものなら、どうすべきか仁王に聞きたかった。
仁王に答えて欲しかった。
その夜、仁王の体にメスが入りました。麻酔をかけられての手術は1時間で終了した事が告げられました。手術で解ったことは、
結果、血管輪異常ではなかった事、そして仁王の幼い食道は筋肉が無く、ただ風船を膨らませたように膨らみ、食道は力を失って、そのまま、だらんとしていただけ、伝染病が食道や胃に支障をきたしてる可能性もあり、腹膜炎の可能性もありと言われました。
仁王は大手術に耐え、本当に力を振り絞って生きてくれました。
その後もチューブで流動食を与えられておりました。
しかし、小さ過ぎる仁王の体は限界に近づいていたのです。
22日(月)、私は夜の仕事先で携帯に入ってた主人からのメールを休憩時間に見ました。仁王が危険な状態だと病院から連絡が入ってたのです。もう全身の力が抜けました。仕事中に何度も涙が込み上げてくるのを押えるのに必死でした。仁王の傍に飛んで行きたくても行けない辛さで、とにかく仁王、会いに行くまで死なないで待ってて、と祈り続けました。しかし・・・
ついに祈りは届かず・・・仁王は肺炎を起こしてたのです。抵抗力も無くなって合併症も起こし・・・ついに夜9時40分息を引き取りました。私は仕事を終えて自宅に深夜12時近くに帰ったとたん、我慢してた悲しみが込み上げ、大声で泣きました。
仁王を一人病院に残したままでいると思うと、胸が張り裂けそうになりました。仁王の最後を看取ることが出来なかった私にとって、こんな辛い事はありません。
眠れない夜を過ごし、次の日の朝、仁王を引き取りに行きました。仁王の体は小さいまま、とても柔らかく、私を待っててくれてたかのようでした。仁王の顔はとても優しい穏やかな顔に戻っていました。私もやっと仁王を抱きしめる事ができて涙が溢れました。その夜、私は可愛い仁王の傍を離れず寝ました。
我が子、仁王はとうとう天国に召されてしまいましたが、
仁王にとってみても、私達には想像もつかない苦しみの連続であったかもしれません。やっと苦痛から解放され、ほっとしているかのような安らかな顔に見えました。子猫が走り回って遊ぶ事もできずに、美味しい御飯も食べる事ができずに、仁王はこの世とお別れしました。
人は無力です。私には成す術がありませんでした。仁王には謝っても謝りきれません。
でも、12日間という仁王との繋がりは私の心に深く刻み込まれ、
一生忘れる事ができません。仁王の生きた証を皆様と共に
見届ける事ができて、仁王も喜んでいると思います。
仁王を応援してくださって本当に心から感謝致しております。
仁王に教わった事・・・勇気、そして最後まで決して諦めない・・・その事をこれからも大事にして、仁王の分まで、今いる猫達のために努力し頑張っていきたいと思っています。
仁王はきっと天国から私達の味方になって、猫達の幸せの為に
仁王様の様に見守ってくれると信じております。
小西美智子
S 2008.09.27(土) 18:55 修正
仁王ちゃんのご冥福をお祈りします。
もし美智子さんに出会うことがなかったら、仁王ちゃんは
苦しみながら、誰にもかえりみられず死んでいたのでしょう。
弱っている体に温かい手と医療ケアがどれほど嬉しかったことか。
私も仁王ちゃんのことは忘れません。