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お世話と治療に追われる日々

2013.02.26

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 厳しい冷え込みで寒い日が続いております。
もうすぐ3月というのに、猫達の飲み水は氷が張っています。晴れた日でも氷が解けないで残っているのですから、いかに冷え込んでいるかが分ります。ホカロンもたくさん使用してます。今年の冬は長く感じます。

 去年の暮れから色んな事が立て続けに起きております。犬のシロが行方不明になったり、ハンペラ達が命を絶たれたり、多頭数の猫を飼っておられた府中のおじさんが倒れて入院されたり・・・、心配事が次々と起こる多摩川の出来事に苦しくなり心痛み、それでも、今生きて頑張っている多摩川の犬猫達やおじさん達のためにも、一日も気を休める事なく、できる限りの事をして日々忙しく動いております。

 猫達が体調を崩さない様に、毎日お世話しながら健康チェックをしてます。オタベは大雪の時から痩せて風邪を引いてしまいクシャミを連発してましたので薬を投与しながらお腹いっぱい食べさせてました。今はまた元通りに太って元気になっています。
 老猫達も頑張ってくれていますが、去年、ブルーが亡くなり、そして先月、シャガールが亡くなりました。ブルーもシャガールも最高齢で約18歳という一生を精一杯生きて全うしました。
私の心の中はポッカリ穴が開いたまま・・・、それでも、自分ができる限りのお世話を一日も欠かさずやってこれて良かったと、ブルーもシャガールもきっと分かってくれて、今は天国から見守ってくれていると信じています。

 今日はご報告したい事があります。
 1月の終わりから気になっている場所の猫達が大変な状況で病気が蔓延して忙しく治療に追われていました。
ドンベェを飼って下さっているKさんの所にハクビシンが来るようになっていると聞きました。多摩川でタヌキやハクビシンを見るのは珍しくないのですが、ハクビシンが猫達の小屋で一緒に寝ているという事を聞いた時に、嫌な予感がしました。
 そして、予感が的中、ハクビシンが疥癬に罹っているという事が分りました。
 この時期、タヌキやハクビシンは疥癬に罹っている事が多いです。疥癬に罹ると徐々に体力的にも弱って行くために餌が取れなくなり、餌を求めて、犬や猫達の餌を目当てに寄ってくるようになります。疥癬症(ヒゼンダニ)は強い痒みのため、皮膚を激しく掻いて体毛がどんどん抜け落ちてしまいます。寒さを凌ぐために猫の小屋に侵入してきます。
 私は長い活動の中、この疥癬に苦しむタヌキなどによって猫小屋が占領されて猫達が小屋に入れなくなったり、猫達の餌が大食漢のタヌキによって全部食べられてしまったり、対策に困った経験が何度もあります。
 でも一番怖いのは疥癬が猫達に感染する事です。
ヒゼンダニは皮膚を食い破って中に穴を掘るように入り込みます。恐ろしい病気で、疥癬症に罹ると激しい痒みに襲われ、狂ったように掻き毟って自身の体を爪で傷つけてしまい、毛はどんどん脱毛して象の皮膚の様に皺ができてゴワゴワに硬くなっていきます。掻く度に角質のような黒い物がボトボト落ちます。
 疥癬症を放っておくと症状が悪化し衰弱して死んでいきます。
疥癬はどんどん広がり首、頭から瞼もやられ失明もします。

 疥癬に罹ったハクビシンと猫が接触しなければ救われますが、
Kさんの猫達がハクビシンと仲良く遊んでいるという話も聞いて唖然としました。普通なら猫はタヌキなど怖がって近寄りませんが、ここの猫達はみんな若くて子供のように遊び盛りの猫達なので、子供のハクビシンに興味津々で一緒に仲良くなってしまうのでしょう。。。Kさんが飼ってる猫達の猫小屋で一緒に寝たり、Kさんと一緒に寝てる猫達も多く、その中に紛れ込んでハクビシンが寝てた時は、猫だと思って見たらハクビシンだったのでビックリしたKさん、、、これは大変な事になったと思いました。
 Kさんは疥癬の事などまったく分からないので、詳しく病気の説明をしました。そして、猫達の命に関わるので、今後の対策、そして、どうしていけばよいかのアドバイスもして一緒に協力して対処していく事にしました。

 疥癬治療はイベルメクチンという薬を使用して飲み薬や注射、色んな治療方法がありますが、猫の頭数が多いために確実に治療していくにはレボリューションを個々に滴下して治していく事が最良だと思いました。
 ここには20匹近い猫達がいます。不妊手術も時間をかけて丁寧に猫達の健康状態を見ながら徐々に進めていき、最後の一匹を残すだけとなっておりました。とても怖がりな猫で飼い主のKさんも触れません。私が一人で捕まえて病院に連れて行く事にしました。16番目の最後のカトチャン猫も疥癬に感染していて、首回りが脱毛していました。
 1/31(木)、無事保護してキャリーに入れて病院に搬送しました。
レボリューションを滴下して、不妊手術をして頂いて、いつものように3種ワクチンもして、2/4(月)無事に退院してKさんの所に戻りました。 治療費¥13,930

レボリューションを滴下して2週間後にまた二度目の滴下をしていくやり方で、猫達の疥癬は軽かったり重かったり症状に差がありますので、重症の猫は三度目の滴下で完治すると思います。これは長期間の治療観察と思って、長い目で確かめながら猫達を見守っていきます。20匹近い猫達は頭数が多いために一日で全ての猫に治療する事は不可能です。日数をかけて慎重にミスが無いよう、ノートに記して、レボリューション滴下の日付と症状の状態や度合など記録を取ります。
 Kさんから猫とハクビシンの様子を聞き取りしながら、一番ハクビシンと肌合せて寝ていたクロ(黒猫)が重症だと分りました。
激しい痒みでクロは酷く掻き毟って、脱毛した体にたくさんの引っ掻き傷ができていて血が滲んで痛々しい姿でした。
そして、チャトランはハクビシンの爪が胸に刺さったようで、胸に穴が開いて傷を負い、脱毛したり、雑菌が目に入って目ヤニで酷く顔が汚れていました。そして元気が無くなっていました。すぐにa/d缶に抗生剤を混ぜて食べさせました。レボリューションも滴下しました。キジトラ達も首、尻尾や脚、腰など色んな場所に疥癬の症状が出ていました。長毛のライオン丸は立派なタテガミが後ろ首から背中が脱毛していました。そして、みんな頻繁に掻いていました。
 2/1から一週間かけて全ての猫達の一回目の治療を終えました。
2月は雨の日も多くて、雨が降るとレボリューションができないので天気の良い日を選んでやります。
 そして、小屋の敷物を全て廃棄して、新しい敷物に取り換えました。タヌキやハクビシンは小屋の中で排便もします。とても不潔になります。疥癬の除菌消毒も含めて、小屋の消毒、掃除も大変でした。Kさんの布団もハクビシンに汚されてしまったので、新しい毛布や敷き毛布なども差し上げました。
 Kさんが頑張って協力して下さったので本当に助かりました。
寒い中、Kさんも仕事に行けなくて猫達のために頑張ってお世話して下さったので、感謝の気持ちでいっぱいで、私も食べ物をお渡ししたり支援金もお渡ししています。もちろん、ここの猫達のフードも全て差し上げています。
 
 とにかく、疥癬が蔓延すると、やらなければならない事がたくさんあって、作業も色々と時間がかかります。
私も毎日の猫達のお世話や他の場所の心配なおじさん達の猫達の支援回りもある中で、Kさんの猫達の疥癬治療にも行かなければならず、本当に時間に追われて苦しい日もあり、長時間のお世話で一日が終わるとクタクタになります。
 でも、疥癬に感染した猫達を何もせずに見過ごしていたら猫達は衰弱し、いずれ死んでいきます。それが分っているだけに、今やらないと命が助かりません。

 しかし、レボリューションは高価なために費用が嵩みます。病院で購入すると一本¥1430です。
1/31に一回目の治療として20本購入しました¥28,600
二週間後に二回目のレボリューションを滴下しますので、また20本購入しなければなりません。
 実は、飼い主さんがいなくなった府中の25匹の猫達の場所にも疥癬に罹ったタヌキが3~4匹来て、小屋に入り込んでしまい同じ状況になっています。ここはタヌキと遊ぶという猫達はいませんので、感染した症状はまだ軽い方です。ただ、小屋にタヌキが入り込んだために敷物など取り換えたり、たくさん敷物も支援して持っていきました。
 府中の猫達の薬も含めて薬代だけで約5万円費用が掛かっています。

 苦しい状況の中、幸いにも府中猫達がお世話になっている病院からレボリューションが安価で手に入る事になりました。先生には本当に感謝しています。

 今現在、二回目の治療がほとんど終わりました。
 そして、重症のクロもチャトランも疥癬が治ってきていて、ほんの少しずつ新しい毛が生えてきています。
クロも当初、弱っていて体力が落ちて風邪も引いてました。
疥癬治療をして、体力を付けさせるためにa/d缶に抗生剤を混ぜて食べさせて風邪も治しました。今は体力がついて元気になっています。3月に入って、猫達を観察しながら3度目の治療をします。
時間がかかりますが、疥癬症を完治させたいと思います。

  そして、疥癬ハクビシンですが、2/11(月)の早朝に亡くなったそうです。猫達の治療をする中、疥癬元のハクビシンをどうすべきか悩んでいました。野生の動物は人を警戒します。多摩川という場所である限り、ハクビシンを追い出すことは難しいでしょう。
ハクビシンを治療する事も考えましたが、ハクビシンは人が見てると餌を食べません。薬入り餌を確実に食べさせる事を確認するのが難しいです。隔離できると一番良いのですが、色々とKさんと相談もしてました。
Kさんは網で捕まえて大きなケージに入れてみると言いました。
危険が伴うので無理はしない方が良いと私は言いました。
ところが、9日、Kさんが指を噛まれながらも捕まえてケージに入れる事に成功したのです。それを知って驚きました。。。
私は10日にハクビシン用に餌に混ぜて食べさせるためにイベルメクチンを手配しました。ハクビシンを治療しようと思ってた矢先にハクビシンは亡くなったのです。たぶん今思うに、運良く捕まったのは衰弱していたからでしょう。私はハクビシンを見ていませんが、
Kさんは「もう体の毛が全部無くて、尻尾だけ少し毛が残ってるだけだった・・・可哀想だった・・」と寂しそうに言いました。
Kさんは本当に優しい人で、ケージに入れて馴らしてハクビシンも助けたいと思ってる人でした。

 色んな事がたくさん多摩川で起きています。
小さな事も一匹の猫についても書けるなら色々と詳しくお知らせしたい事はたくさんあります。でも辛い事に時間の限界があります。
時間が足りません・・・これが本音です。
微力ではありますが、必死にできる限りのお世話をしております。

 皆様にいつも温かく見守って頂いて、感謝でいっぱいです。

 多摩猫基金のお蔭で猫達の治療が大変助かっています。
 猫達やおじさん達への支援物資も大変助かっています。 
 心のこもったご支援をして頂きまして、
 心から感謝の気持ちでいっぱいです。
 本当に有難うございます。
 
 遅い時間に保護猫達のお世話をしながら、合間にブログを書いてます。誤字や文章の乱れなど、お見苦しい点があるかと思いますが、どうぞお許しください。 またご報告いたします。 

 小西美智子
 


 
 

コメント一覧

I.M. 2013.02.28(木) 08:44 修正

ハクビシンも寂しいのでしょうね。
同じ命とはいっても、人間と同居できる動物ではないですし。かといって、住処を奪ったのは人間だし。辛いところです。
最後に猫たちと遊んで、お腹いっぱいになって、独りよがりな考えですが、良い思い出ができたのではないでしょうか。
夏になり湿度が高くなってほかの病気が出てくる前に、疥癬のピークが収まると良いですね。春先の気候変動が激しい時期、人間も体の変調がいろいろあります。お二人とも気を付けてくださいね。

あんこもち 2013.03.01(金) 10:35 修正

こんにちは。いつもブログを拝見しております。
寒い中、毎日毎日のお世話本当にお疲れ様です。

ハクビシンや狸の疥癬が猫にも感染してしまうことを
初めて知りました。そして、たった1匹の感染元から、
沢山の猫たちがこんなにも深刻な状況になってしまうとは!

感染してしまった猫たちの日々のお世話、
本当に頭が下がります。労力、金銭面など
考えただけで気が遠くなってしまいます。

私も近所の野良猫10匹のTNRや病気の治療を
一人で行っています。小西様ご夫婦に比べると、
負担は小さいものですが、それでも辛いこともあり、
いつもこのブログや展覧会に勇気付けられて、
私も頑張ろう!という気持ちになります。

まだまだ寒い日が続きますので、
どうかご夫婦共にお身体にはお気をつけて、
お過ごしください。

小西様の活動を心から尊敬しており、
友人や個人的なブログで紹介させていただいております。応援しておりますので、決してご無理をせずに、
頑張ってください!

一日も早く猫たちの疥癬が治まることを願っています。

未承認 2013.12.25(水) 09:57 修正

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