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ダイコの報告~退院後の様子

2014.08.25

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 2005年6月6日朝、3匹の子猫が橋の下近くに段ボール箱に入れられた状態で捨てられていて、カラスに襲われている所をおじさんに発見され助けられました。発見したおじさんの知り合いのホームレスさんが私がお世話をしている猫達の場所まで自転車で駆けつけて、「子猫が捨てられてて、大変そうなんで見に行ってくれる?」と言いました。
 
 心配になり、私は現場にすぐ行って見ました。
 3匹の子猫は生後20日位で、3匹とも風邪で両目がふさがってしまい炎症が酷く失明寸前でした。体力も衰弱して危険な状態でした。この3匹のうちの一匹がダイコです。助けなければ死んでいた命です。
 両目の瞼は大量の目ヤニで固まって真っ黒にこびり付いてしまっていて、ぬるま湯でゆっくり剥がすと瞼や目の周りの毛まで一緒に剥がれ落ちてピンク色の地肌が見えました。瞼が開かないまま放置すれば失明するために、無理矢理でもくっついた瞼を手で開け広げましたが、目の中は炎症で肉が腫れあがって眼球は見えない状態でした。本当に可哀想な状態でした。風邪を治療し失明だけはなんとか免れるよう諦めずに祈りながら毎日目薬をしました。

 発砲スチロールの箱を準備しホカロンと敷物で3匹を暖かい状態にしてミルクをほんの少しずつ飲ませながら抗生剤投与して点眼しながら体力の回復を待ちました。毎日、薬、ペットシーツ、敷物、子猫用ミルク、ポットにお湯を入れて持参し、ミルクを飲ませ子猫のお世話をして、おじさんとの協力で私は現場に2ヶ月間、一日に3度通って毎日看病して救った命です。自分が今まで救ってきた子猫の経験を活かし全力を注いで必死にお世話しました。日に日に子猫は元気になって奇跡的に目も失明せずに治ってくれて3匹は助かりました。過去にこんなに大変で辛いお世話をした事はありません。
私も限界のお世話をして体調を崩しましたが、子猫達が助かった事でおじさんは私の毎日の精一杯の努力と行動を見て下さり深い信頼関係も築けました。そして、ダメ(助けれない)かもしれないと思っても諦めないで頑張れば必ず良い結果がついて来るという自信も生まれました。おじさんも元気になった3匹をとても可愛がって育ててくれました。3匹はダイコ・キー・クリという名前がつきました。
 2ヶ月間の努力で病気が治って目もパッチリして可愛くなって生後3ヶ月になった頃、キーとクリの2匹が次々と誰かに盗まれてしまいました。病気の酷い状態の時は誰も助けようとも声もかけてくれず、見て見ぬふり見向きもしてくれなかったのに元気に可愛くなると色んな人が声掛けて来るようになりました。

 しかし、勝手に黙って盗むのは許せないです。
2匹がその後どんな運命を辿ったのか・・・誰にもわかりません。
 残った一匹のダイコを守ろうとおじさんも必死でした。
その年の12月、ダイコは不妊手術も済ませ、おじさんと穏やかに幸せに暮らして私もずっと見守っておりました。

 平穏な日々の中、ダイコのおじさんの体調が少しずつおかしくなって、2006年の夏頃から口の中がおかしいと言ってました。
2007年に入っての真冬、体調がさらに悪化してしていき、私は食べ物をお渡ししてましたが、だんだん口の中が痛くて食べる事ができなくなっていきました。 おじさんは痩せ細って寝てる日が多くなりました。
起き上がるのも辛くなってきたおじさんを心配して、私は救急車を呼びました。暫く治療で入院になるだろうと思ってたら、なんと次の日にもう戻ってたのでビックリしました。理由を聞くと、点滴したら帰るようにと戻されてしまったのです。歩く事もままならない状態の病人を寒風吹きすさぶ橋の下に戻したのです。あまりに冷たい仕打ちに私は怒りがこみ上げてきました。

 おじさんは救急車を呼ばないでくれ・・・と言いました。優しさも思いやりもない扱いを受けるのが嫌だったのでしょう・・橋の下で死ぬ覚悟をしていました。
 おじさんが元気な頃はけっこう色んな人が来てたのですが、おじさんが体調おかしくなると誰も立ち寄る人がいなくなりました。
おじさんの布団はどんどん真っ黒に汚れていくので私はカバーを変えてあげたり、バスタオルを頭の下や口元辺りが汚れないように取り換えてあげました。私が持って来た飲み物も食べ物もまったく受け付けなくなって、喋る事もできなくなって、もう臭いも強くなっていました。入院させて欲しいと思いました。

 対応が悪い病院の扱いを心配して、ある人が議員に頼んでくれて、次の日議員さんと待ち合わせして、おじさんは救急車で運ばれてやっと病院に入院となりました。
 おじさんは舌癌でした。
 おじさんはその後、亡くなりました。

 したがって、、今現在ダイコを飼って下さってるおじさんは、ダイコの二番目の飼い主さんになります。亡くなられたおじさんの近くにいたホームレスさんで、最後まで心配してくれてた仲間の一人です。
そして、残された猫のダイコを不憫に思ってその日から自分の猫として面倒見て飼って下さり、
 今はダイコを家族のように可愛がってて、今回ダイコが病院に入院中の間も、居ないと寂しいね・・・と会う度に言っておられました。ダイコは良いおじさんに出会えて幸せに暮らしています。
私もずっとおじさんとダイコを支援しています。

 ダイコがどんな運命を辿って今に至っているのか・・・
皆様にほんの少しだけ知って頂きたくて書かせていただきました。

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 皆様ご心配して頂きましてすみません。
 ダイコの病気の報告の続きをいたします。

 皆様に多摩猫達をいつも見守って頂いて、温かく応援して下さる優しいお気持ちが届いて、お陰様でダイコの手術は無事に成功いたしました。本当に心から感謝しています。ありがとうございます。

 20日間という長い入院の間、ダイコはどんなに不安でいっぱいだったでしょう・・本人もよく耐えて頑張ってくれました。

 入院中はとてもおとなしく落ち着いていて、ご飯もよく食べてくれてるという事で安心していましたが、普段はちっとも鳴かない猫が病院に連れて行く時と退院時のキャリーに入っている時はずっと鳴きっぱなしでした。猫の気持ちを思えば「不安と恐怖」でしかないと思います。それでも抵抗せずにキャリーに入ってくれるのは信頼関係しかありません。怖いけど信じてくれてるのです。この事に本当にいつも感謝します。

 動物が寄せる信頼は一途です。一度信じたら死ぬまで信じています・・・だから、人間がそんな動物の気持ちを途中で裏切ったり遺棄する事は一番罪が重い事なのだと思います。

 8/20退院の日も猛暑で厳しい暑さでした。
 病院へ搬送中に熱中症になる猫もいますので暑い時間帯は注意が必要です。
キャリーの中にタオルを敷いてタオルの間に小さめの保冷剤を入れておきます。保冷剤を忘れた場合は自販機で冷たい飲み物(ペットボトル)を買ってキャリーの中に入れておけば大丈夫です。

 お昼過ぎから犬猫達のお世話をしていったん帰宅して病院にお迎えに行って、再び自宅に戻ってダイコを自転車で多摩川までおじさんにお届けに行きましたので夜7時近くのお届けになってしまいました。
 無事におじさんの元に戻すことができて、私も自分の責任を果たせてホッとしました。ダイコはおじさんの小屋に戻るなり、すぐに暑い小屋の中に入って姿を隠して出て来ませんでした。暑かろうとも自分の住み慣れた安心できる場所なのですね(ダイコの気持ちはよく分ります)。そっとしておいてあげるのが一番ですね。

 怖い思いをさせてしまった私の事を許してくれるだろうか?・・・とそればかり気になって帰宅しました。
 次の日、恐る恐るダイコの所に行くとダイコは私が来た事に気がついてすぐに出て来てくれました。いつもと変わらずに傍に寄って来てくれました。本当に嬉しかったです。ダイコは私の事を恨んではいなかったのです。逃げてしまうのかな~?と思ってた自分が恥ずかしくなりました。

 退院時に病院から頂いた薬(術後の薬)がまだ数日分残っていて、暫く抗生剤と点眼をしなければなりません。ダイコの所に毎日通って薬投与していますが、ダイコは少し嫌がりますがなんとか私にやらせてくれてます。私を本当に信じてくれてるので私も懸命にお世話してます。
 瞬膜を全部取り除いた事で、普段より涙腺から余計に涙が出てきますので目が涙目になりやすいです。そのためホコリや汚れも付着しやすいのでなるべく清潔に保って毎日拭けるように目まわりの清浄綿(眼専用)もおじさんにお渡ししています。

 ★「扁平上皮癌」についてもう少し付け加えたい事があります。

 この扁平上皮癌は病名の通り、体の表皮、表面にできる腫瘍で、特に耳・鼻・口など顔にできる場合が多いようですが、ダイコのように目の中にできる腫瘍は深刻で、深部に向かって強い浸潤性で周囲に広がっていきます。なので表面にできる腫瘍より攻撃的にどんどん進行していく悪性腫瘍なのです。恐ろしいです。
 
 それと今回の手術で、腫瘍を切除する際に瞬膜はかなりの出血を伴うため、出血を抑えるために電気メスを使用しています。 

もし、腫瘍が眼球まで少しでも進行していれば眼球も摘出しなければならない状況でした。

 とにかく、瞬膜にできる腫瘍は他の部位にできる腫瘍よりアグレッシブ(活動的)なので今後も再発や転移に注意が必要だそうです。手術は成功しましたが今後も経過を見ながらダイコを見守っていきます。

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 ★ダイコの診療内容~(8/1~8/20)

 駆虫・点滴・血液検査(QBC検査・生化学検査)
 FeLV/FIV(-)・
 X線撮影(3回)・BNP(外注)(心臓)・腫瘍切除術・術中投薬
組織検査・病理検査(外注)・抗生剤・点眼(2種)・
 入院料・時間外特診・他・・・

  ★治療費合計 ¥ 114,890

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いつも温かいご支援をして頂いて、助けて頂いて感謝の気持ちでいっぱいです。
お陰様で、ダイコも助かりました。
本当にありがとうございます。

 皆様からの心のこもった多摩猫基金、支援物資のお蔭で
多摩猫達やおじさん達が救われています。
皆様の心優しい思いやりに、心から感謝しています。

 本当にいつもありがとうございます。

 写真掲載はもう暫くお時間下さい。
 

 小西美智子

 
 

コメント一覧

I.M. 2014.08.25(月) 11:36 修正

余生を穏やかに暮らし、天寿を全うできますように。

なな 2014.09.04(木) 22:53 修正

ダイコちゃん、手術が成功し、元気になって本当によかったです。
小西さん、美智子さん、本当にお疲れさまです。
毎日お世話を、ありがとうございます。
手術前の傷の様子はとてもひどかったのですね。。
無事退院でき、おいちゃんの元に帰ることができて、ダイコちゃん、安心したことでしょうね。

最近は埼玉の盲導犬の事件、大田区の公園で多くの猫たちが何者かに手をかけられた事件、弱い罪もない健気な動物たちが哀しい目に合っていることに、とても胸を痛めております。
人間の勝手な意思で動物を傷つけることは、本当に本当に許せません。
ヨーロッパなどと比べると、犬、猫など動物に対しての、日本の理解力、意識の低さに恥ずかしくなります