ひとりと一匹たち・・・で撮影取材に協力して下さったホームレスさん達には本当に心から感謝してます。
中野さん、佐藤さん以外にも多くの取材に協力して下さった方で放送されなかったホームレスさん達にも、その後お礼を兼ねて番組のお蔭で集まった物資を皆さまの声としてお運びしています。
「お市とフウマ」を飼ってるEさん、去年の8月末の豪雨で流された「ナナ」の飼い主のサワさん、今はダイちゃんがいます。サワさんは発電機を持ってるホームレスさんとなんとか番組を見る事ができて・・・「良かったよ・・・涙が出た・・。」と言ってました。
Eさんは「見れなかったけど、応援してるから」と言ってくれました。ホームレスさんから応援してるという言葉を頂くなんて・・・本当に涙が出そうになりました。ホームレスさん達をご支援して下さる方から届いた物を持ってきましたと報告しながら食糧やキャットフードをお渡ししています。どのホームレスさんも本当に喜んでお礼を言って下さっています。ホームレスさんを支援する事で猫達が助かっていると言って過言ではありません。
番組に出てきたチャアカの事ですが、
チャアカのシーンを観た人の中に、「何故病院にすぐ連れて行かないのか」「どうしてあのまま放置して死なせたのか、可哀相でたまらない」というご意見がありました。
限られた放送時間では伝わりきれてない内容が多々あります。長時間収録されても編集カットされるので仕方ない事でもあります。
私とチャアカのシーンは2回に分けて出てきますが、その間が幾日も経っているかのように感じられ、ずっと放置して死なせたと勘違いされているようです。
チャアカは10月14日までいつもと変わらず食べて元気でした。ただ少しずつ痩せてきてたのが気になっていました。多摩川の猫達はたまに痩せたり、また太ったりする事はあります。様子を見ます。ところが、チャアカは15日に体調が急変したのです。
その日は与えた純缶を少し口にしましたが、チャアカの状態は深刻でした。この日に丁度NHKさんが来ました。先に待ってた私はチャアカの深刻な症状を説明しました。多くの猫達を見てきた方だったら同じ体験をされているかもしれませんが、猫はある日突然、体調が急変する事があります。本当は前兆があるのでしょうが、見た目だけでは体の中で起きている事までは本当に判断しずらい事が多いのです。
チャアカを飼ってたホームレスさんが生きていた頃から5年近くの付き合いでしたが、
2007年の台風9号で濁流に呑まれ流され、1週間後に痩せてふらふらになりながら自分の居た所に戻ってきたのです。どれだけの恐怖を味わった事か、そして体に受けたダメージと精神的ストレスだけでも死んでもおかしくないのです。現に生還してくれた猫達でも僅か3~4ヵ月の間にバタバタと体調が急変して亡くなった子は多いのです。
チャアカもトッチも運良く立ち直ってくれて元気なりましたが、
去年8月末の豪雨被害、自然の猛威から逃れる事ができない多摩川・・・本当に過酷で厳しい現状の中で必死に耐え生き抜いてくれてました。しかし、体の中は少しずつ病んでいってたかもしれません。小屋が流される度に猫達の小屋を作って雨風を凌げる様にしてあげましたが、目に見えない蓄積された疲労とストレスは相当だったと思います。呼吸の症状を見た時、ストレスが原因で肺炎を発症してる可能性があると感じました。NHKのOさんに言いました。
「チャアカは危険な状態です。今日か明日、もしかして死んでもおかしくないです・・・」すると、Oさんは「チャアカが心配なので明日も撮影に来ます。」と言いました。
本当はすぐにでもチャアカを病院に連れて行ってあげたいと思いましたが、まさかの突然の事で
猫を運ぶバックも持ってきてないので、家に取りに戻ってまた現場に来て運ぶ事が困難な時間帯でした。近場に24時間アニマルセンターもありますが、ここは連れて行っても費用は高額な上、動物が酷い目にあって死んでいて、泣いてる飼い主さんが大勢います。泣き寝入りしている被害者が大勢います。連れて行けば死にます。
どうか頑張って欲しいと祈りながら、次の日、病院に連れて行く為のキャリーバックを持って行きました。でも、チャアカがいないので捜しました。祈りは通じず・・・チャアカは死んでました(16日死亡) 画面でもお解かり頂けたと思いますが、チャアカの体は硬くなって、私は撫でながら、愛おしいチャアカの体にびっしり産み付けられたハエの卵を払い落としてました。白く見える物がポトポト落ちていたのはハエの卵です。
Oさんは私が言ってた通りになってしまった事に驚いてました。でも精一杯、チャアカは生きました。私も毎日、チャアカを最後まで裏切らなかったつもりです。チャアカが毎日世話したあの場所で死んでくれたのはチャアカの私に対する最後のお別れの言葉だったと信じています。命の最後を見届けさせてくれたチャアカに有難うと心の中で何度もつぶやきました。こちらが一生懸命やれば動物はきっと感じてくれる。動物は決して裏切らないのです。
ほんの少数意見ですが、「ホームレスさんの所にいる可哀想な猫達をあの場所から全部何故保護してやらないのか・・・」等と言う人もいました。
その人は猫だけしか観てないのでしょうか・・・。
ホームレスさんが今まで苦労して育ててきた気持ちにもなって欲しいです。
人の目に届かない場所にこっそり捨てた人間がいて、助けなければ今存在してないかも死んでるかもしれないその命に、自身も苦しい生活を強いられているのに手を差し伸べてくれたホームレスさんの小さな命に対する思いやりのお蔭で生きてこれた猫達もいるのです。小さな命が今日まで生きてこれたのです。
後からどうこう言う事は簡単です。
過酷な現状だからこそ、今現代社会が忘れかけている
人も動物もお互いを思いやる心をもう一度考え直して欲しいですよね。
思いやりのかけらも無い、動物を遺棄する人間が無くなるよう、
それが伝えたい事なのです。
私達は過酷な現状を分かってもらうためには、その現場に毎日足を運び、できる限りのお世話をしながら、日々何が起こっているのか、現実を記録し、遺棄された動物達やホームレスさん達の事をいつか皆さんに伝えられて、少しでも世の中が変わって欲しいと願いつつ微力ながら活動してます。
施設に入った中野さんの所に猫達は現在5匹います。
毎日お世話していますので、猫達と頑張っています。
中野さんが飼ってる猫達は台風9号の後、
生後3ヶ月位の時にHPでも里親募集をしていましたが、残念ながら
大人になっても里親がつきませんでした。
ラストシーンでの茶トラの猫は大きくなってしまいましたが、
とても性格が穏やかな猫です。保護してくださる方というより、
飼ってくださる方が現れればとても有難いと思います。名前はホワンと呼んでます。
小西美智子
おくろママ Mail URL 2009.03.13(金) 06:11 修正
いろいろ検索したところ、多摩川の猫達を支援するボランティア団体もあるようですね。その方達とは連携していらっしゃるのでしょうか?←そのボランティア団体のブログにホームレスさんの猫について書いてあったので。
……個人的意見ですが、虐待される猫がいなくなるように、何か対策を講じられないものか?と思います。
地域住民の目を借りる(←ウォーキングしている人達に不審者を見かけたら通報してもらうとか)、ボランティア団体の手を借りる(←虐待防止の啓蒙活動をしてもらう。多摩川近辺で虐待防止のビラを配るなど)などして、虐待を防止できればいいなと思います。
私の住んでいるところにも野良ちゃんが30匹ほどいて、個人で長年お世話されている方がいます。
でも未だかつて、虐待の話はありません。
野良ちゃん達のごはんやりスペースにはいろいろな人達がごはんを置いていきます。
こうした地域の人達の優しい目が犯罪の抑止力になり、虐待を防いでいるものと思われます。
多摩川でもいろいろな方々の力を借りて、虐待を防いでいただきたいと思います。