あきる野市を経て羽村市の河川敷に渡りました。
ここで珍しくクロと出会えました。河口から約54km地点です。
私が初めてクロを見たのは01年の10月中旬でした。河川敷にうっそうと茂る雑木林の中をひたすら歩いた所に高齢のおぃちゃんと暮らしていたのです。当時はその近くの別の猫の取材が目的で足を運んでいたので、クロの存在のみを確認できたに過ぎなかったのです。
2度目に会ったのは05年頃だったと思いますが、やはり目的とする近くの場所に居る猫たちに支援物資を運んだりしていたので、そこに立ち寄ることはありませんでした。随分と大柄で他人を寄せつけず、とても精悍な猫だという印象がありました。
そして、今日会えたのが3度目です。飼い主は当時の目的地であった場所に居るおばちゃんになり代わっていました。以前、クロを飼っていた高齢のおぃちゃんは07年に起きた台風による増水で行方不明になったまま、今日まで2年7ヶ月という月日が経っていたのです。おばちゃんの話によると当時クロはクルミの木に登り避難していたそうですが、自分の飼い猫のこともあり、どうする事もできなかったそうです。
以来、難をまぬがれたおばちゃんの猫、ユキ(♀) アユ(♀)に加えてクロも仲間として面倒を見ているのです。不明になったおぃちゃんはとても優しい方だったと今でも悔やんでいるのです。
当時の事を思い出しながら涙ぐんでいるおばちゃんの傍らでクロはたたずんでいました。
以前の精悍さはなく、歳をとり動きも鈍くそれなりに痩せていますが素晴らしく穏やかで、まるで置物のようです。「とっても賢いんだ。」とおばちゃんは言いますが私も同感です。おぃちゃんとの思い出話や若い頃のクロの逸話を聞きながら、足元に居るユキ、アユ、クロを見ていると目に見えない人と動物との「運命の赤い糸」が見えるようです。
日用品・猫フードなどをお渡しして羽村を後にしました。

