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マリちゃん、どうぞ安らかに・・・・最後までの責任(1)

2010.06.23

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 私にとって最後までの責任とは、そこで生きるしかない運命の猫達を日々見守り、一生懸命に生きる尊い命が最後を迎える日まで、できる限りのお世話をさせて頂く事を意味します。

 3月に亡くなられたTさんはアル中のMさんという人を看病しながら狭いテント暮らしをされていました。
そこには三毛猫のマリちゃんと茶トラのケンちゃんが飼われていました。

 私がマリちゃんやケンちゃんのためにエサの寄付などを始めたきっかけは2007年の台風9号の後からです。
 そのずっと前からこの2匹の存在が気になりながらも、実はTさん達とお付き合いはできませんでした。周りの知り合いのホームレスさん達から「あそこは危ないから行かない方がいいよ」と止められていたからです。
 アル中のMさんは時々、酒で幻覚が出ると暴れて周りに迷惑をかけていました。被害妄想もあったり、大声をあげるのです。
 なので、周囲の人は私の身を案じて、何かあると心配だから近寄らないように注意してくれるのです。私も忠告を受け入れるしかありませんでした。たまに表にマリちゃんが出てきて佇んでいる時に
隠れてそっと美味しいエサを置いてあげる程度でした。

 しかし、2007年の台風で人も猫も皆が生きるか死ぬかの地獄を味わった時・・・私はもう迷う事無くTさんにも声をかけて支援物資を渡し、猫達の支援も始めていました。

 やっとこれでマリちゃんとケンちゃんのために今後、何かあれば、少しでも役に立てると思うと本当に嬉しくて胸の痞えが取れました。Tさんは穏やかで優しい人で話ができました。
Tさんは私が来ると、Mさんが寝ている時に応対してくれました。
 私は二人の食べ物をお渡ししたり、マリちゃんとケンちゃんに美味しいフードをたくさん寄付しました。
 お付き合いができるようになってから、Tさんから少しずつお話して下さるようになりました。

 Tさんは多摩川の河川敷に来てから10年は経ちます。その前は違う場所に約10年、ホームレスになられて20年は経っていました。
驚いた事は、20年前からマリちゃんを飼っていたのです。
 Tさんの話だと、マリちゃんは約20歳・・・ケンちゃんも14~5歳だと言ってました。本当にビックリしました。
 でも、言われてみればマリちゃんもケンちゃんも若くは無いというのは一目で見て分かっていました。そして老猫特有の病気が進行しているのも分かっていました。なので、老猫に合ったフードをお渡ししていました。どれだけ頑張って生きてくれるか、私も見守っていく決意をしていました。

 Tさん達は以前はもっと多くの猫達がいたのですが、相次ぐ虐待や嫌がらせ、そして棒の様な物で殴り殺されたりして、結局マリちゃんとケンちゃんだけになってしまいました。
私もこの近くで起きた二件の事件は記憶にあります。

 そういう事もあったために、人間不信のMさんは酒を飲むと猫がやられた時の怒りが込み上げて時々錯乱状態になってしまうのでした。
ホームレスさん達は何をされても言い返せない弱い立場にいます。
猫達が虐待に遭っても・・・悔しさを我慢しているのです。

 ホームレスさん達の口癖ですが、
「俺達には何も言う権利が無いから・・・」
私は何度この言葉を耳にしたか・・・そんな時
「そんな事はありません。正しいと思う事は誰でも、どんな人であろうとも言う権利はあります。」 
と私はおじさん達を励ましながらも・・・悲しく、やるせない気持ちになりました。

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未承認 2012.08.17(金) 18:13 修正

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